市街地に近い湿原「中池見」を歩く
山に囲まれた中池見湿地
JR敦賀駅や北陸道敦賀ICから僅か2㎞という近さに、ラムサール条約で認定された湿地「中池見」があります。
中池見湿地は敦賀市街地の北東側に位置しており、周囲を3つの山に囲まれた盆地状の湿地で、袋状埋積谷(元の谷地形が厚い堆積物によって埋められたもの)という特異な地形の典型的なものとされています。
また地下には、約10万年の気候変動を記録した、世界屈指の厚さ40メートルにも及ぶ泥炭層が形成・堆積していることが確認されています。
中池見湿地では、昔からの水田耕作によって張り巡らされた大小の水路や、水田、水たまりなどがモザイク状に組み合わさって、多様な水辺環境が作られてきました。広さ約25ヘクタールという狭い地域の中に、多様な環境に適応した動植物が、60種以上の絶滅危惧種を含む約3,000種確認されています。特にトンボについては70種以上が確認される日本屈指の生息地となってるといいます。
移築された古民家
傾斜地に咲くササユリ
かつて耕作されていた水田はいまはほとんど葦原や池となっていますが、一角にある田んぼでは稲作の体験などができるようになっています。
驚いたのはこの田んぼやその周辺では通常絶滅危惧種として保護の対象になっているデンジソウ、ミズトラノオなどの希少種が田んぼの強雑草として存在しており、デンジソウをサラダにして食べていると聞いて、此処には昔の田んぼの生態がそのまま残っているのだと驚きました。
ここでは雑草扱いのデンジソウ
田んぼでは昔ながらの装束の3人の女性が草取りをしているのを見かけました。3時間後、湿地を巡った帰りに見てみると女性たちは休憩中でしたが、田んぼを見比べるとずいぶん草取りは進捗していました。全くの人力でも大したものだと感じ入りました。
草取りをする女性
3時間後畦で休憩する草取り女性と、草取りが進んだ田んぼ