高槻・原の大蛇祭

むかご

2019年04月21日 16:39


大綱の先頭に露払いなどそれぞれの役割の氏子


川東垣内から神社へ向かう(市バス神峰寺口付近で)

高槻市原中村にある八坂神社は、素戔嗚命を祭神とし、毎年4月最初の日曜日に行れる春季大祭は、別名大蛇祭と呼ばれ、ワラで直径25cm、長さ30mもの大綱を編んで、これを大蛇に見立てて村中を練り歩いたのち、弓で射つという、ダイナミックで珍しい神事です。
この祭りは、昔、近くの池に住んでいた大蛇が、時々村に出てきて、村民を悩ませるので、弓で退治したところ、大蛇は上天し、その後村は安穏無事に過ごせるようになったという故事によると伝えられますが、大蛇は洪水被害を意味する説もあり、つまりは豊作を祈願する春祭りが起源と考えられています。
大蛇祭の特徴は、原の4つの集落が1年毎交代で神事を執り行うこと(神番)で、神番となる垣内(今年は川東)では氏子総代を中心として年始早々から地域住民が総出で準備に取り掛かります。

大綱は時々上へ差し上げられる


担ぎ手は、鳥居提灯と社殿前の石鳥居との間をお神酒を頂きながら1時間以上も往復練り歩く


練り歩きと差し上げ


桜の下で挙がる気勢



役を演じる若者たち

祭は、大蛇に見立てた大綱を男性が担いで神番から神社まで練り歩き、神社の前のにつらえた弓場と小川を隔てた的場まで運び込みます。
神社社務所では、三献の儀での神酒拝戴、謡曲献奏などの神事が行われ、これがすむと、床に飾られていた大きな的が宮司から渡されて、若者の手に捧げ持たれて的場の所定の位置に取り付けられます。

大綱を待つ八阪神社


大綱境内入り


的場の脇にとぐろを巻いた大蛇の頭部を的筵の上に這わす


社務所では三献の儀など神事が進行

そしてこの祭りのクライマックスである「鳥見山蟇目の式」が始まります。
弓場では、宮司を先頭に村の役人たちが後方に一列に並び、弓場にいづれも男性の6~12歳の童子の矢執り、15~18歳の弓引き、裃の肩脱がし(添え弓)など役割りが立ち、いずれも定められた所作に従って、2人の弓引きが正面の的を2回、最後は天に向かって矢を放ちます。

的が取り付けられた


弓が矢場に入る


弓渡し


矢を放つ


童子により矢が放たれる瞬間、家族や近隣の人たちから大きい声がかかり、正面に向かってうまく矢が射られると、満場大喝采です。
隣のお父さんが「〇〇やれっ!」など息子に声をかけるので、つられて思わず自分も「頑張れ!」などと声をかけてしまいました。
矢で射られた大蛇は的場でとぐろをとかれ、本殿前まで運ばれて、ながながと横たわっていました。

横たわる大蛇の骸

地域に根付く古い伝説、地域総出での手作り感、よくわかり面白いストーリー性、そして何よりもちょうどころあいの人出、原の大蛇祭はお奨めのお祭りです。