2008年05月09日
アカシヤの咲く頃

何時ものの散歩道に、いつの間にかアカシヤの白い花が咲きこぼれ、甘い香りを漂わせています。
白秋の「この道」、清岡卓行の芥川賞受賞作「アカシヤの大連」のアカシヤ、さらにはたぶん西田佐知子の「アカシアの雨が止むとき」のアカシアも、正しくはニセアカシアと呼ばれるマメの科の落葉高木です。本当のアカシアは別名をミモザという春先に黄色い花をつける木で、世界に600種も有るといわれていて、日本で見られるのはフサアカシアやギンヨウアカシアが代表的です。
「アカシヤの大連」で、主人公は中学校の先生から「大連のアカシヤは、俗称でそう呼ばれているので、正確には、にせアカシヤ、いぬアカシヤ、あるいはハリエンジュと呼ばれなければならない・・・」と教わります。大連にも本当のアカシヤがあると聞いて彼は本物を見に行き、にせアカシヤのほうがずっと美しいと思い安心します。
「彼はそのように遠い日のささやかなエピソードを、「にせ」という言葉が不当にも、ある生命の自然な美しさに冠せられていることに対する、一種の義憤を通じて思い起こしていたのであった。」
毎年、“ニセアカシア”の白い花が咲く頃、日本の植民地でもっとも美しいといわれた大連をこよなく愛した、この多感な詩人の若かりしときの心情を思い、まだ見ぬ大連に憧れのつのるむかごなのです。



